- 2026-9-24
- ひびきの関心事
1980年代のバブル形成、90年代のバブル崩壊と、「失われた30年」がこれだけ長く続いてしまった背景を探り、投資活動を通じてその再生(≒日本企業の活力の再生)を図りたいという探求が私どもHibiki Path Advisors SPC(“Hibiki”及び“私ども”)をエンゲージメント投資へと駆り立ててきました。昭和時代の株式の持合い構造がガバナンス意識の発現、そして変革の機運を遅らせた挙句、今になっても企業の成長や価値の問題が、「企業対株主」という表面的な問題にすり替えられていることに憤りを感じつつ¹も、欧米の企業に対して周回遅れの状態から、「追いつき、追い越そう」という所謂アニマルスピリットがより多くの企業経営者に顕在化しつつある今の状態には希望を見出しています。
本日ご紹介(※)したいのは、独立行政法人経済産業研究所のリサーチアソシエイト岩本晃一氏の一連の連載となります(下部のリンクご参照)。この連載には私どもも深く考えさせられ、日本企業再生のヒント(回答?)が多く散りばめられていると感じました²。現在の日本とドイツの生産性が何故2倍にも開いてしまったのか、という素朴な疑問点から出発し、単なる経済データに留まらず、両国の企業経営の思想、行政のスタンス、従業員の思想、人生観の問題と、データの裏に潜む本質的な問題にも果敢に切り込み、耳の痛い数々の鋭い指摘をされています。
尚、余談ですが、ドイツでは企業のガバナンス設計上、執行役会(Vorstand)と監査役会(Aufsichtsrat)が明白に分かれて、厳格な階層型構造となっています。その監査役会が重要案件の承認や執行役の任命・解任権を持ち、最上位の意思決定機関としての強い監督責任を有しています。従業員2,000名以上の大企業の監査役会では、従業員代表が半数を構成することが法律で要請されていますが、これは従業員側にも中長期の企業価値向上意識が根付いていることで初めて成立し得る極めて珍しく、難易度も高いガバナンス構造です。その機関設計が機能するドイツの歴史的な「風土」を知る、という意味でも本連載は一読の価値があると感じました。岩本氏のご経験と慧眼による素晴らしい分析でもあり、是非投資家や資本市場関係者のみならず、企業経営者や企業幹部の皆様にもご一読をいただきたいと思います。
尚、第一回目の投稿の要点は以下となります(下線はHibikiによる)。
・ドイツ人は、お金を稼ぐことに素直・愚直に努力し、人が欲しがるものを作って高く売ることを考えている。
・日本人は、いいものを作って安く売ることに努力している。別な言い方は、薄利多売、大量生産・大量販売。それが高じれば、利益無視のシェア獲得競争になる。
・(ドイツは)製造業が国を支える基盤産業との国民的合意がある。そのため、教育システムや人材育成が全て製造業のために制度設計されている。
・ドイツに赴任した日本人は、「ドイツ人は働かない」とよく言うが、平日遅くまで残業し、週末でも、めいっぱい経済活動している日本は、ドイツに大きく引き離され、ドイツ人の半分しか稼いでいない。
・ドイツには、「隠れたチャンピオン」と呼ばれる強い中小企業がいる。国内で生産し、外国に輸出して付加価値を国内に落としている。
※なぜ日本人の生産性はドイツ人の半分なのか-失われた30年を生み出した大きな要因(2026年4月よりシリーズ連載中 – 現在8回まで)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/196.html (第一回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/200.html (第二回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/201.html (第三回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/202.html (第四回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/203.html (第五回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/204.html (第六回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/205.html (第七回)
https://www.rieti.go.jp/users/iwamoto-koichi/serial/206.html (第八回)
¹ これについては、資本主義シリーズ三部作をご覧ください。
² Hibiki Path Advisors SPCは独立行政法人経済産業研究所様及び岩本晃一氏とは一切関係なく、その主義主張につき、肯定・否定する立場にもございません。
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