① 配当に関して:今回、昨年度の一株47円から大幅増配の63円をご決定いただき、さらに今期の予想で65円としていただいている。価値を共有いただき、大変素晴らしいし感謝申し上げるが、しかし、実際の配当性向でいうと22%と低い。世の中、「三方よし」の姿勢で配当性向、おおまかに1/3の30%が主流になっているが、今後の配当の姿勢に関してコメントいただきたい。
② 株主に関して:ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド、という所謂「モノ言う株主」が買い増しを進めているが、どのような対話をなさっているか、ご開示いただける範囲で教えていただきたい。
③ 将来目標に関して:数年で売上300億円という社内目標を掲げられていると存じます。イハラらしく目線が高く、大変頼もしく、楽しみでもあります。しかし敢えてお伺いするとして、その達成のために今のイハラに何が足りないと考えているのか、教えていただきたい。
④ ISの栞に関して:私(清水)が、機関投資家説明会の際に頂戴した「ISの栞 (“経営陣の強力なリーダーシップと合理的な経営”を参照)」を拝読して、大変感銘を受けた。企業経営の示唆としてだけでなく、一個人として仕事や日々の生活とどう向き合うかの大変良き示唆を頂いた。これを書籍のような形で日本社会のために公表いただけないか。
回答についてですが、①については、やはり半導体関連業種でもあることにより業績が大きく変動する中で、何とか継続的に増配をしていく、という姿勢を堅持したい。配当政策としてはっきりと数値化するのではなく、この「継続増配」を施策としてそこをベースに考えていきたい、②については、6月も当該株主がお見えになり、当社の経営哲学及び経営姿勢を提示し、高く評価いただき応援を頂いている、とのことでした。予断は許さない状況かとは思いますが、当面においては関係性は良好な模様と理解しました、③については長岡社長より大変含蓄のあるご回答をいただきました。まず、300憶円の売上を現状のクオリティで達成するために、しっかりとした対応(インフラ)の整備拡充が必要である、とのことで、確かにごもっともであります。そして、想像通り、海外での展開でさらに力を入れないといけない、ということでした。しかし、同時に長岡社長が力強く仰ったコメントで、2017年に取得した中国の南通工場においてCP(半導体関連)事業の整備が進んでおり、顧客からの引き合いは大変強いとのことでした。米中貿易摩擦で中国が半導体関連技術の拡充を図る中で、バランス感覚を持って取り組んでいることを示唆いただき、大変良い印象でした。④については、長年コツコツと執筆を頂いている中野会長から直々にご回答いただきました。中野会長は、「そういったコメントは有難いが、現状も当社や私の活動も進化途上であるのでまだまだそういう社会に出すものではない、今まで同様、講演などは喜んでするが、書籍としてはお恥ずかしくまだまだ世の中にお見せするようなものではない、よきタイミングが来たら検討する」とのことでした。
回答に関しては概ね大変納得する部分はありますが、④のISの栞に関しては、私(清水)としては、主体性及び活力を失いつつある日本の社会経済に対して、是非、中野会長が血と汗と涙で長年培ってきた「仕事と向き合う方法」のエッセンスを広く社会にご提示いただきたいと心底感じるところではあります。しかし、中野会長ご自身による、「私自身あくなき追及の途上である」、と清水の総会での渾身の願いを打ち捨てるだけの気概を持っておられることに改めて感銘を受けた次第であります。80歳になられた中野会長、そして、プロパーの社員として実績を積み上げ、昨年より満を持して60前に社長を受け継いで300億円とその後の舵取りを担う長岡社長を全面的に応援したいと思います!
当社の現在の時価総額はおよそ300億円ですが、バランスシートには有利子負債はほぼゼロで、現金と投資有価証券が合計80億円程あります。運転資本が概ね80-90億円ですので、借金ゼロとして、more than 十分と理解しています。日本企業で、過剰資本、過剰純現金の企業が多いことは周知の事実ですが、当社もその一社です。現在の株価で評価すると、今期会社予想PERで9.3倍、実績PBRで1.0倍、予想配当利回りで3%ですが、どこからどう見ても、れっきとした成長企業でありながら株式市場は完全に誤解をしているように感じます。市場は「完全に誤ることがある」というエビデンスとしか言いようがない状況です。
芯のある株主として、100周年までの今後の20年を大変楽しみにしております。
尚、本投稿は、特定の有価証券の取得の申込みの勧誘若しくは売買の推奨又は投資、法務、税務、会計その他いかなる事項に関する助言を行うものではありません。