米ウォルト・ディズニー 、ABCニュース売却観測について

Hibiki Path Advisors CIOの清水です。今日は普段と変わった話題に触れたいと思います。米国のエンターテイメント総合企業、The Walt Disney Company(「ディズニー」)について傘下の米国3大TV放送網の一角であるABC社売却観測が出ております。(ロイターより)これに対し、ディズニーは14日、「ABCもしくは他の資産売却に関するいかなる決定も下していない」とのステートメントを発表しております。

(出所:Statement From The Walt Disney Company

ディズニーは以前、私どもの投資先への年始レター(2020年)「ディズニーのあくなき挑戦の歴史」 で取り上げさせていただいた歴史ある優良企業です。その際にも深く触れましたが、2021年までCEOを勤め、一旦引退をしたBob Iger(「アイガー氏」)の洞察力と行動力には経営者として目を見張るものがありました。

2022年秋には、彼の引退後のディズニーの経営が迷走した結果、早々に三顧の礼で呼び戻されアイガー氏が再度CEOに就任しましたが、ここに来て、1996年に発表されたディズニー社の最初の大型買収であったABCの売却観測報道が出ることに改めて(良い)驚きを禁じえません。

アイガー氏は1974年、ABCに見習いとして入社した叩き上げの人材で、ABCがCapital Citiesに買収され、さらにディズニーに買収され、そのディズニー社のトップにまで上り詰めた驚異的なキャリアを持ち合わせています。その後の買収による事業ポートフォリオ転換については私どものレターを御覧いただければ幸いです。

自身が最初にお世話になった企業であるABCを、ディズニー本体の戦略的適合性の観点から手放すというオプションを検討することは、たとえ米国人でも一個人の心情としてはたやすいことではないと推測しますが、それを実際に検討するところに、彼のCEOとしてのFiduciary Duty(信任義務)に対する極めて高いモラルを感じる次第です。

企業価値の最大化のため、そして別の観点で傘下企業のより高い成長のために、このような戦略的な売却をも検討出来る経営者及び取締役会が日本にも、もっと増えることを期待したいと感じたニュースです。

まだ観測段階ではありますが、驚異的長期成長の後、コロナ期のピーク株価から半減した現在のディズニーの株価、今後どうなるか楽しみであります。

(ディズニー社株価推移 2005年~)

(出所:Yahoo Finance US)


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