- 2024-7-7
- TBSホールディングス, エンゲージメント
ひびき・パース・アドバイザーズ(以下、「ひびき」または「私ども」)は、6月27日に開催された株式会社TBSホールディングス(以下、「TBS」)の第97回株主総会(以下、「本株主総会」)にて剰余金処分(増配)についての株主提案を行いました。本議案は第6号議案となっております(私どもの具体的な提案内容に関してこちらをご覧ください)。
7月1日にTBSより提出された臨時報告書によると、第6号議案に対し、15.0%の賛同を得ることが出来ました。私どもの株主提案に賛同をいただきました多くの株主の皆様には心より感謝申し上げます。有難うございました。誠に残念ながら同議案は否決となりましたが、大手議決権助言会社であるインスティテューショナルシェアホルダーサービシーズ社(ISS社)に私どもの議案への賛同推奨をしていただき、また、相応の数の株主の皆様にもご賛同いただいた結果を見ると、TBS社取締役会に対しては株主による「株主還元姿勢に対するさらに強いコミットメントを求める」とのメッセージが提示された形になったと私どもは感じております。
東洋経済新報社、会社四季報2024年夏号における上位11株主のうち、TBSの関係者あるいは持合い関係株主だと推測される株主らの議決権合計約45.9万個を計算から除外した場合1、第6号議案は一般の個人株主や機関投資家株主等の約24%の賛同を得た計算となります。これは、持合い関係に左右されない一般株主等が、TBSの資本政策につき、さらに踏み込んだ施策を求めていることの顕れだと考えられます。
また、本株主総会において経営トップである佐々木氏2の取締役再任議案については賛成割合が73.4%となっております。佐々木氏の取締役再任議案について、先述のように会社関係者や持合い関係株主を除いて計算した場合3、一般の個人株主や機関投資家株主等による賛成割合は63%を下回り、昨年に引き続き、一般株主及び機関投資家株主等の相当数が再任に対して反対したことを表します。
TBS社は本年5月に「中期経営計画2024-2026 VISION2030 Ph.2」を発表され、事業の成長戦略に関しては力のこもった素晴らしい内容でありながら、残念なことに、資本収益性については極めて物足りない内容であると私どもは感じております。数値面では、2030年度にROIC5%の目標及び本計画3か年の間に600億円規模の株主還元と900億円以上の政策保有株式の売却をお示しいただいたものの、同社総資産の2/3を占める約1兆円を超える有価証券残高との比較からすると極めて少規模であり、抜本的なバランスシートマネジメント及び資本効率の改善と企業価値の最大化に取り組んでいると言い難い内容であります。
TBS社におけるこのような水準の株主還元計画の発表は、同社が投資家の目線を十分に意識した経営を行っていないことを裏付けるものと考えます。この点につき多くの株主が課題と認識しており、経営トップの信任率の改善には、持合い関係株主等以外の機関投資家株主及び個人株主の意見も取り入れつつ本質的なバランスシートマネジメント等に向き合うことが求められると私どもは感じております。
政策保有株式に関し、TBS社は、個別の銘柄毎の保有目的に関して「取引関係の維持・強化のため」や「提携関係の維持・強化のため」といった時代遅れな説明に終始し、極めて多額の政策保有株式を抱え込む旧弊を継続しようとしています(同社の第97期有価証意見報告書65頁から68頁)。私どもとしては、TBS社には、政策保有株式の継続保有が、もはや資本市場から疑念の目を向けられる事象であり、その解消にむけた不断の努力が経営陣に求められていることを理解していただく必要があると考えております。そのような不断の努力の過程において、一部の銘柄につき保有を継続する旨判断した場合、その判断の過程を、定量的、具体的に、TBS社の各ステークホルダーに示すべきだと考えます。尚、私どもが昨年投資先に向け送付し、その後公開した「6つの提言」レターに政策保有株式の発展過程の歴史的考察とその時代錯誤性につき考察しております。
私どもは、TBS社のIP成長戦略をコアにしたTimeless Valueを追求するトランスフォーメーショナルな事業成長の方向性については引き続き積極的に応援しつつも、同社取締役会に対しては、バランスシートに対するさらに踏み込んだ抜本的な改革案の提示や、株主にとっての資本収益性の代表的な指標であるROEの定量的な目標設定を強く求めていきたいと存じます。
1 会社関係者及び政策保有相手は株主提案に反対したと仮定しています。
2 2024年6月より代表取締役社長から取締役会長に就任。
3 会社関係者及び政策保有相手は佐々木取締役再任に賛成したと仮定しています。
過去の当社へのエンゲージメントは、下記リンク先資料及び動画をご覧ください。
2024年6月16日 ー ひびきの株主提案にISS推奨表明
2024年5月14日 ー 株式会社TBSホールディングス 株主提案について
2023年5月20日 ー 株式会社TBSホールディングス エンゲージメント説明動画について
なお、今回の資料等の公開については、特定の有価証券の取得の申込みの勧誘若しくは売買の推奨又は投資、法務、税務、会計その他いかなる事項に関する助言を行うものではありません。