2025年7月4日 - 金融庁公表資料について

皆様こんにちは、Hibikiの清水です。今回は、金融庁が6月30日に公表した「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム2025」についてです。この中で、私が大変良い変化だとピンと来た部分が以下となります(本資料Ⅱ-1-②)。

市場の番人である金融庁がこのように企業の過剰現預金を明示的に問題視したことにより、現預金に座して、投資もせず、還元もせず、ROEを低下させる続ける経営者/取締役会への外堀がより埋まってきました。

一般論として企業は「成長投資への備え」として多額の現預金保有の説明をしがちです。ただ、実際は十分な投資もなされず、バランスシートが膨張し、ROEが低下している事態が方々で散見されます。そのような企業の「今後成長投資します!ですので今キャッシュが必要です!」宣言は、株主には空虚に響きます。なぜなら、良い経営をしていればその成長投資について銀行借入も十分に可能ですし、株価が十分に評価されていれば時価発行増資も可能だからです。成長投資自体は、それが成果を上げるのであれば全く否定されるものではないですが、それと過度に現金を積み上げることとは、全く別問題です。

例えば、先般私どもが株主提案を行いました投資先の日本高純度化学(JPC)巴コーポレーション(巴)はまさにその典型例です。JPCは総資産の約86%が現金と有価証券で、借入はゼロです。そして巴は総資産の40%が現金と有価証券となっています(借入は合計で負債純資産合計の15%程度と小さい)。今年度四季報予想ROEはそれぞれ4.81%、3.36%と極めて低い水準に甘んじています。経営陣にとって寄らば大樹の陰、ならぬ、寄らば大金の陰となり、従業員にも株主にも、そして自社の将来にも十分に還元されていない状態が長年継続しています。

私どもは、株主共同利益の追求のため、このような問題を抱える投資先に対して引き続き強くエンゲージメントを行っていきます。金融庁におかれましては、日本の経営者のマインドセット改革そして国富の増加のために、是非引き続きこのような大切な問題提起をいただきたく存じます!


尚、本投稿は特定の有価証券の申込の勧誘若しくは売買の推奨または投資、法務、税務、会計などの助言を行うものではありません。


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