2025年7月7日 ー フジ・メディアHDのガバナンス問題の検証番組と日本高純度化学株式会社を絡めて

2025年7月6日、株式会社フジ・メディア・ホールディングス(「FMH」)は、一連の人権侵害問題とその背景にあるガバナンス上の不備に関する検証番組を発表いたしました(関連記事:MSN記事より)。

ひびき・パース・アドバイザーズ(「私ども」、又は「弊社」)は、日本高純度化学株式会社(「JPC」、又は「当社」)に対して、渡辺取締役相談役による実効支配に関わるガバナンス上の問題点を繰り返し指摘し、本年度株主総会ではキャンペーンも実施しております。その中で、FMHとJPCのガバナンス上の構造的な類似性を指摘しておりますが、本検証番組を踏まえて、改めてコメントさせていただきます。

同番組の中では、日枝取締役相談役が当社の経営に強い影響力を保持し、組織風土にも大きな影響を与えていたと述べられています。以下は検証番組私どもとして注目したポイントです。

①日枝氏が人事権を掌握
・当時は役員の指名も報酬の決定も日枝氏が行っており、今でいう「役員指名ガバナンス」、「役員報酬ガバナンス」も機能していなかった
・日枝氏とその他の役員では大きな権力格差が存在していた、多かれ少なかれ忖度はあったと思う
②2重の権力構造の存在
・外部から見ると2重の権力構造、いざ責任を取るような問題が起きたときに、代表権を有さないが影響力を持ち続ける人物ではなく、その部下であり表向きに代表権を有する人物が責任を取る体制
③日枝体制長期化による企業への悪影響
・一人の人物が長い間権力を持ち続けると必要以上に権力が大きくなり、権力におもねる「取り巻き」、「茶坊主」が増殖する。結果権力者には耳に心地よい話しか入らなくなり、経営判断を誤る時がある
・日枝さんの歓心を得ようとしている役員、局長の動きが若い人間のモチベーションを極端に下げているのが、非常に良くない事のひとつ

また、副会長の遠藤氏が本件の責任を取って日枝氏に辞任を迫った際に、日枝氏から「お前は戦わないで辞めるのか」といった事を言われて断られた経緯や、本件検証番組の取材に関して3回にわたり取材を申し込んだが、日枝氏は応じなかったことが取り上げられております。

上場企業が代表権を有さない特定の人物の実行支配を受け、ガバナンスが機能不全に陥る道筋を描写するとともに、影響力を長期間保持した人物が自ら襟をただすことや、ガバナンス改善に向けた抜本的な改革を社内主導で実現する事の難しさを強く感じる内容であったと感じています。

私どもとしても、JPCの渡辺取締役相談役の25年間に渡る当社の実効支配に対する問題提起をキャンペーン趣意書や、ダイヤモンド・オンライン記事の中で繰り返し行って参りました。長期低迷する業績(営業利益やROE)の実質的責任者として渡辺取締役相談役には取締役の立場を退いていただき、過去の業績に対する建設的な批判的精神に則り経営、株主、従業員の皆様一丸となって企業価値を向上していく仕組みが必要不可欠と再認識しております。

図:渡辺氏が経営支配を継続する間の業績推移

(出所:Bloomberg、当社有価証券報告書よりHibiki作成)

当社取締役会におかれては、相談役とは誰のためのものか?取締役の責務とは何なのか?という視点を今一度見つめなおして頂きたく存じます。私どもは、JPCの明るい未来に向けて日々前向きに取り組んでいただいている従業員の皆様、それを支える株主の皆様に寄り添い、引き続きエンゲージメントを続けて参る所存です。

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