2026年4月27日、Hibiki Path Advisors(2026年1月以降は Hibiki Path Advisors SPC。以下、両者を合わせて「私ども」または「弊社」といいます。)の主要投資先の一社である株式会社巴コーポレーション(以下、「当社」といいます。)が公表した「当社株式の大規模買付行為等への対応方針(買収への対応方針)の導入について」(以下、「本プラン」といいます。)を拝見し、当社取締役会に対して、株主共同の利益の観点から強い懸念を表明いたします。
私どもはこれまで一貫して、当社の企業価値向上に向け、中期経営計画の見直し、資本効率の改善、政策保有株式の縮減等を求め、建設的な対話を重ねてまいりました。その中で、当社が近時、持ち合い解消に向けた取り組みを進め、また自己株式取得(自己株式を除く発行済株式の約9%規模)といった前向きな資本政策を実施してきたことについては、3月6日付の私どもの開示においても記載している通り、一定の評価をして参りました。
しかしながら、本プランが突然発表されたことに、私どもは驚きを隠すことができません。本プランは、これまで見られた前向きな変化の流れと整合するものとは到底考えられません。むしろ、過去の取り組みが、株主からの要請に最低限応えることのみを目的として実施されてきたに過ぎず、実態としてはこれ以上の変革を避けたいという経営の自己保身に立脚する後ろ向きな意思を市場に示すものとして受け止めざるを得ません。本来であれば、これまで着手してきた資本政策の取り組みをさらに深化させ、資本効率の改善を一段と進めていくことこそが求められている局面であるにもかかわらず、買収への対応方針の導入という形で外部からの規律を抑制する方向に舵を切ることは、長期的な企業価値向上の観点から合理性はないと考えます。
具体的には、本プランの導入そのものが、資本市場との対話を拒否する姿勢を示すものである点を、私どもは極めて重く受け止めております。上場企業においては、株主や潜在的投資家との対話を通じて、資本市場からの信頼を得ながら、必要な変革を進めていくことが本来あるべき姿と考えます。とりわけ、足元の当社の投資有価証券が純資産の58%¹、不動産の税引後含み益を考慮した修正PBRが約0.6倍²、特別利益を除く実質ROE³が6.2%という資本構成および収益性の水準を踏まえれば、資本政策のさらなる改善を求める株主の要請は極めて合理的であり、そのような問題意識に対しては、対話と具体的な施策によって応えていくべきです。にもかかわらず、「資本政策に関心を有する投資家の存在」そのものを対応策導入の一因として位置付けるのであれば、それは対話を通じて資本市場からの信頼を得ることを放棄することと同義であり、資本市場に対して誤ったメッセージを発するものと言わざるを得ません。
次に、本プランが株主総会の承認を経る前に、取締役会決議限りで先行して導入されている点について、その妥当性は認められません。株主の権利に重大な影響を及ぼし得る制度である以上、その是非は株主の判断に委ねられるべきであり、まず導入を既成事実化した上で事後的に承認を求めるという手続きは、形式的には株主意思を尊重しているように見えて、実質的にはそれを軽視する経営陣の本心を映し出すものです。このようなプロセスは、当社のガバナンスに対する信頼を損なうものであり、看過できるものではありません。
加えて、本プランの導入時期およびその背景にある考え方についても、私どもは重大な問題があると考えております。私どもは、本プランは、株主総会の承認という形式を備えているものの、その具体的な運用や判断の大部分が(独立委員会構成委員を含む)取締役会に委ねられる構造となっており、実質的には広範な裁量を許容する枠組みであると考えています。それに加えて、本プランは、差し迫った買収行為等が具体的に認められない中で、かつ一定の安定株主が存在し、短期的に経営権が脅かされる状況にない局面において導入されています。このような状況で買収への対応策を取締役会決議限りで先行的に導入することは、「企業価値の向上」のためという説明とは整合せず、むしろ現状の経営体制を維持するための安全装置を予め確保しようとする意思の表れと受け止められてもやむを得ません。とりわけ、当社がこれまで一定の資本政策の改善に着手してきた一方で、その取り組みはなお道半ばにあり、資本効率の更なる改善を求めることには合理性が認められる状況にあります。そのような局面において、「現時点で買収への対応策を導入しておけば、当面は外部からの規律に直面せずに済む」との発想に立つものであるとすれば、その前提自体が誤っていると言わざるを得ません。本来であれば、経営陣はこうした規律を前提として自らの改革を加速させるべきであり、これを回避する方向で制度を整備することは、結果として経営の自己規律を弱め、資本市場からの信頼を毀損するリスクを高めるものです。
私どもは、当社の企業価値向上の可能性を否定するものではなく、むしろこれまでの対話を通じて、その潜在力を十分に認識しております。だからこそ、本来当社が取り組むべきは、一時的な目の前の防衛ではなく改革であり、閉鎖ではなく対話であると考えます。本プランは、その方向性に逆行するものであり、結果として当社の資本市場における評価を毀損し、ひいては企業価値の毀損に繋がるおそれがあると考えます。
以上を踏まえ、私どもは本プランの導入に強く反対いたします。特に、持ち合い株主や創業家を含む会社関係者の自己保身的な意思決定のもとで、その利益が軽視されがちな少数株主の皆様の利益を確保することは、私どもにとって極めて重要な責務であると認識しております。株主共同の利益の観点に立脚し、真に企業価値向上を志向する株主として、本件への対応に取り組んでまいります。
当社取締役会に対しては、本プランの導入が資本市場からの当社に対する信頼を損なう危険性を真摯に受け止め、その妥当性について改めて検討されることを強く要請いたします。株主の皆様におかれましては、本件が当社の将来のガバナンスおよび企業価値の方向性を左右する重要な論点であることをご認識いただき、株主総会における主体的なご判断をお願い申し上げます。
以上
¹ 26/3期 3Q決算短信を基準に、2026年2月25日に公表された投資有価証券売却益30億円 ÷ その他投資有価証券評価差額金204億円(26/3期 3Q決算短信)、2月26日の自己株式の取得67億円を考慮して算出
² 不動産は25/3期有価証券報告書に記載の鑑定評価、資本は26/3期 3Q短信に2026年2月26日開示の自己株式取得の結果を反映して計算
³ 第3期中期経営計画『TOMOE BUILD up 5』修正に関するお知らせ
(過去の関連する投稿)
2026年3月6日 - 巴コーポレーション 自己株取得と政策保有株式の売却に関して
2026年1月23日 - 巴コーポレーション 中計の抜本的見直し及び特別委員会設置要望に対する進捗状況の確認
2025年11月17日 ー 巴コーポレーション 26/3期 2Q決算について
2025年10月3日 ー 株式会社巴コーポレーション 中計見直し・特別委員会設置の要請書送付について
2025年7月1日 - 株式会社巴コーポレーションの株主総会結果について(臨時報告書への見解)
2025年6月13日 - ひびきの巴コーポレーションへの株主提案に対して、ISS推奨表明
2025年6月5日 ー 株式会社巴コーポレーション 中期経営計画修正に対するコメント
2025年5月29日 ー 株式会社巴コーポレーション 株主提案について
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