2024年3月17日 ー 資本コストを意識した資本政策、経営の取組みについて

ひびきの清水です。3月15日、日経新聞に、上場企業、個人投資家狙い配当多様に(会員限定) という記事が掲載されております。

その記事には、長期で安定的な配当施策であるDOE(株主資本配当率)を導入する企業が急速に増加していることが語られております。そこで紹介されている大林組※は、つい先日、3月4日に資本政策の見直しについて というプレスを発表し、理論的な資本コストのみならず、市場株価評価から逆算される資本コストをも意識した上で、ROE目標を「10%以上」に上方修正し、DOEの目安も3%程度から5%程度に上方修正をしたことで、資本市場から高く評価され、発表翌日の株価がストップ高(+20.5%)となりました。

実は、大変手前勝手ながら、私ども、2019年12月に、全投資先に対して「配当」に関して という書簡を送付し、それをウェブに公開した上で投資先やその他の企業の経営者の皆様に「DOEコミットメントによる配当政策」が資本効率を意識している指標として、市場から高く評価されるだけでなく、経営者自身にとってもROEをより強く意識するための規律付けの役割を果たすことを継続してお伝えして参りました。当時は、「知りませんでした・・・」や「そういう方式もあるのですね。参考にします・・・」程度のつれない反応も多かったことからすると、昨今のこの変化には隔世の感を覚えます。

昨年は主要投資先の日本高純度化学に対してDOE導入を含む株主提案を行い、6月の株主総会では否決されたものの、その後、10月に取締役会自身のご決断により、DOE5%の導入を発表いただいております。また、先日は最近の新規投資先のアルファポリス社に対して企業価値向上施策提言書にて、DOEを提言させていただいております。私どもは現在もこのように多くの投資先に対して働きかけを継続しております。

東証による資本コスト開示や投資家との対話の要請により、経営者の資本市場に対する意識が大きく変化しつつあります。また、昨今「同意なき買収提案」も増加しつつあり、株価を意識した経営をしない場合には株主がその企業の行く末を決断することとなります。DOEのコミットメント増加はそういった市場の流れを象徴する出来事ですね。今後もDOEを含め、資本コストを強く意識した資本政策を導入する企業が増加することを期待したいと思います!(文責:清水)

※弊社投資先ではございません


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