Hibiki Path Advisors(以下「ひびき」及び「私ども」は、6月28日、2024年に入ってからの新規主要投資先であるヨネックス株式会社(以下「ヨネックス」及び「当社」)のIR部門と改めて面談を行い、私どもの考える当社にとっての理想的な財務戦略・資本政策に関し、当社IR関連資料等やヒアリングに基づいてご提言をさせていただきました。
ヨネックスは、1946年、米山稔氏により創業され、今では言わずと知れた世界トップのバドミントンギアの総合製造会社ですが、近年ではテニスギアにおいても急激にその存在感及びシェアを高めており、日本が世界に誇るスポーツメーカーの一社として私どもも2018年頃から注目し、継続的にフォローをして参り、今年初めてご縁を頂いた状況です。
当社の強みは先ずその技術力です。世界で圧倒的シェアを有するシャトルコックの安定した空気抵抗性能に関しては有名な話(参考サイト:BADMINTON SPIRIT )ですが、ラケットに関しても、スウィートエリアを拡大させる独自の形状理論「アイソメトリック」などジョイント、フレーム、素材の組み合わせによる総合的な技術力は他社の追随を許さず、2021年にはバドミントン大国の中国代表チームと用具使用契約を締結するなど、既に世界で認められたブランドとなっております。
しかしながら、そういった、業界内での世界的評価と比較した場合、日本の資本市場における当社の企業価値評価は極めて低い状況が続いていると私どもは感じ、同時に、株価が割安であるとの認識の下に当社株式を購入しております。先ず、以下が当社及び類似企業の比較バリュエーション表です(図1)。
図1:当社及び類似企業の比較バリュエーション
※財務三表は2024年7月時点の前期実績、バリュエーションは2024年6月末時点、平均は単純平均で計算
(出所:Bloomberg、四季報を参照し弊社作成)
スポーツ用品は製造業であると同時にブランドビジネスであり、そのブランド価値が高ければ高いほど市場でのバリュエーションも高くなります。アシックスやアディダス、ナイキはそうした理由から極めて高い評価を得ています。当社のバドミントン・テニス関連製品の確かな技術力や信頼性の観点からすれば、アンダーアーマーやルルレモンのバリュエーション評価を大きく上回っても全くおかしくないところですが、実際には当社はまだまだ低い状態です。当社の開示姿勢やIRの方向性により改善できるポイントもあり、それについてもご指摘の上、議論をさせていただきました。大変前向きに受け止めていただいたと私どもは感じています。
本面談に関して、成長戦略(Global Growth Strategy)の進捗を温かく見守りたいという観点から、現時点において、当面の間は、面談の具体的な内容を公開することは控えさせていただく予定です。しかし、ROE目標値は、広告費比率の高さについても勘案し、グローバル平均である20%以上を目指し、世界を代表するスポーツメーカーとして目標とすべき目線も高くしていただきたいと、私どもからはお伝えをさせていただきました(図2)。ROE目標値の設定や当該目標の達成にあたり、当社が打ち出すべき施策や具体的な資本配分等につき、様々なシナリオ分析も踏まえご提案させていただきました。これらの提案させていただいた財務戦略・資本政策を実行することによって、当社が株式市場からもより一層高く評価されるものと私どもは確信しております。
図2:当社及び類似企業の収益性・ROE関連指標比較
※財務三表は2024年7月時点の前期実績、バリュエーションは2024年6月末時点、平均は単純平均で計算、アディダスの純利益の前期実績はマイナス
(出所:Bloomberg、四季報を参照し弊社作成)
私どもは、大原則として、事業の成長を心から応援したい企業様に投資を実行しております。その前提で、私どもは、投資先の事業成長の足かせになりうるもの、例として申し上げますと、凝り固まった前例主義、自身で限界を定めてしまう守りの姿勢、過度に安定を求める財務施策等に関し、企業として「そのような壁を取り払い、適切なリスクを取り成長していく」ために私どもの見解や打開策の素案等を投資先と共有させていただいております。
ヨネックスについては、新社長のアリサ・ヨネヤマ氏が再定義した当社の「パーパス&ミッション」(図3)を、新しい息吹と共に、再度浸透させる様々な努力と施策を実行しており、ヨネックスが本質的に進むべき道に邁進していると、私どもとしては評価し、強く期待をさせていただいております。
図3:“経営理念から「パーパス&ミッション」へ”
(出所:当社2024年3月期決算説明会資料P.19より引用)
当社が、過去の古き良き日本の職人型スポーツメーカーという枠組みを飛び越え、世界に名だたる優良企業として、バドミントン・テニス界に留まらず、グローバルの投資家からも高く評価される企業として躍進されることを心から願い、引き続き地道にエンゲージを重ねていきたいと思います。
当社が掲げられている「新たな成長フェーズ」(図4)を私どもも心より期待しております。
図4:“新たな成長フェーズに”
(出所:当社2024年3月期決算説明会資料P.18より引用)
なお、今回の資料等の公開については、特定の有価証券の取得の申込みの勧誘若しくは売買の推奨又は投資、法務、税務、会計その他いかなる事項に関する助言を行うものではありません。