Vo. 7: チューインガム (2021年5月6日)

こんにちは、Hibiki Path Advisorsで総務を担当しているユリアーニ・スワナ(Yuliani Suwarna)です。皆さんはガムを噛むのが好きですか?私が最後にガムを噛んだのはいつだったか……。もう覚えていませんが、きっとシンガポールにいない時だったことは確かだと思います。不思議に思われるかもしれませんね。実は、ここシンガポールではチューインガムを買うことは出来ないのです。ご存じでしたか?

詳しく説明しましょう。私の知る限り、シンガポールではチューインガムの「消費」を禁止する法律はありませんが、1992年からチューインガムの「輸入」と「販売」は明確に禁止されています。

チューインガムが禁止されたのには理由があります。かつてはチューインガムのポイ捨てが原因で、特に高層の公共住宅で様々な問題を起こしていました。郵便受けや鍵穴、エレベーターのボタンなどにガムが捨てられるいたずらが起きたのです。また、地面や階段、舗道などの公共の場にもガムが捨てられ、放置されていました。穴に詰まったり床に張り付いたガムを剥がすのがどんなに大変か知っていますか?これでは清掃費用はかさむばかりですし、清掃用具が破損する原因にもなってしまいます。

さらに1987年にMRT(シンガポールの都市鉄道)が開通してからは、電車のドアセンサーにチューインガムが貼られたためにドアが正常に機能しなくなり、電車の運行に支障をきたすという事件が発生しました。滅多に起きないことではありますが、一度起きれば利用者への被害は大きく、莫大なコストがかかりますし、このようないたずらは犯人を捕まえるのも困難です。

そこでついに、シンガポール政府が立ち上がり、1992年1月、当時のゴー・チョクトン(Goh Chok Tong)首相が、チューインガムの禁止を決定したのです。

禁止令が出されてから10年近く経った頃の話ですが、こんなエピソードがあります。ある時BBCの記者が、チューインガム禁止の法律について、「こんなに厳しい法律があると、人々の創造性に悪影響を与えるのではないか?」と政府に指摘しました。これを受けてシンガポールの初代首相リー・クアンユー(Lee Kuan Yew)が言った有名な言葉があります。「ガムを噛まなければ物を考えられないというのなら、バナナでも食べるといい。」(“If you can’t think because you can’t chew, try a banana.”)

その後、医療用として申請の上販売するガムについては、一部解禁がされています。しかし、政府はガムのポイ捨てが再び起こる危険性を考慮して、完全な解禁については否定しています。

チューインガムの禁止は厳しく感じられるかもしれませんが、おそらく、これがシンガポールが街を清潔に保てる理由の一つなのでしょう。

ユリアーニ・スワナ(Yuliani Suwarna)

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