Vo. 3: ガーデン・シティの虫事情 (2021年4月8日)

皆さんこんにちは、ひびき・パース・アドバイザーズで日本企業の調査をしている澤崎萌です。私は今シンガポールに住んでいますが、実は2020年12月に来たばかりです。そんな私から見た日々の生活から思うシンガポールの好きなところについて、お話ししたいと思います。

Victorが前回のシンガポール通信でお話ししたように、シンガポールはとても緑豊かな「ガーデン・シティ」の名を持ちます。皆さんの中には、シンガポールに高層ビルの摩天楼が聳え立ち、金融街がひしめく未来的な都市国家のイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。下の写真をご覧ください。こちらはシンガポールの中心街である、オーチャード(日本でいう銀座)周辺の街並みを撮ったものです。都心部なのにこの瑞々しい植物に囲まれた緑いっぱいの街の様子に驚かれたのではないでしょうか。シンガポールは高層ビルが立ち並ぶどの街もこのように緑で溢れています。

私もシンガポールに来て驚きましたが、本当に都心から郊外まで、あらゆる道という道に多様な種類の南国ならではの植物が植えられており、早朝のジョギングにも、夕方の犬の散歩にも、緑いっぱいの自然を感じながら気持ちよく街を歩くことができます。

しかし、これだけ緑が多いと、常夏のシンガポールですから虫が心配ですね。ご安心ください。シンガポールは日本よりずっと虫が少ないのです。蚊もほとんど飛んでいません。たまに蚊に刺されても、毒素の力が弱いのか、赤く腫れる痒い虫刺され部分が直径1㎜ほどにしかならず、1日経てば消えてしまいます。私はまだシンガポールで蛾やカメムシ、ゲジゲジ、ナメクジ、芋虫、毛虫、ダンゴムシ、ゴキブリ…などの、見たら「ギョッ」とする類の虫達に一度も出くわしていません。(ゴキブリはいるところには結構いるらしいです)。カタツムリには雨季の今、毎日挨拶していますが。。。

なぜ虫が多いはずの熱帯の気候にもかかわらず、シンガポールではこんなに虫が少ないのでしょうか?自然にこうなったわけではありません。実は、裏にはシンガポール政府の涙ぐましい「ペスト・コントロール(害虫駆除)」の努力があるのです。ペスト・コントロールでは、環境省が大量の殺虫剤を、住宅や街中に毎週定期的に撒いているほか、これは主に蚊が媒介するデング熱などの感染症対策の一環ですが、生殖能力のないオスの蚊を計画的に放して野生にいるメスの蚊と交配させ、蚊の繁殖を自然な形で抑制するという試みも行われています。また、定期的に環境省の職員が各家庭を訪問し、蚊を繁殖させていないか(蚊が繁殖するような水たまりを放置していないか)をチェックし、違反している家庭は罰金として200シンガポールドル(約1万6千円)の支払いが求められます。日本人の感覚からしたら極端に思われるかもしれませんが、虫が苦手な人にとっては、この計画された虫ゼロ・シティは、まさに天国と言えます。

おまけでもう一つ、シンガポールの好きなところを紹介させてください。ご覧ください、これは住宅の中に設置されたごみ箱(ダスト・シュート)です。

日本には無くてシンガポールにある便利なものとして真っ先に私はこのゴミ箱を挙げたいと思います。シンガポールのアパートに住む場合は大抵このようなダスト・シュートが屋内についていて、住人はゴミを直接ここに放り投げれば、大きな管を通してゴミが下に真っ逆さまに落ちていき、一番下の階ですべての部屋のゴミが一つの巨大なゴミ箱に集められるという仕組みです。しかも燃やせるゴミ・燃やせないゴミの分別は不要です。なんと合理的で便利なのでしょうか!日本でやっていた、45ℓの大きなゴミ袋にゴミを集めては嫌な匂いが立ち込めるゴミ捨て場へ捨てに行くあの作業から、ここシンガポールでは解放されるのです。ただし、シンガポールのゴミ捨て事情にも注意が必要です。シンガポールではこのようなゴミはゴミ処理プラントで焼却処理された後、焼却できないゴミと共に3.5平方キロメートルの人工島である、セマカウ埋立地に運ばれます。セマカウ埋立地は今、2035年にはその許容量を超えると予想されており、シンガポールが直面する課題と言えるでしょう。ダスト・シュートの便利さはさることながら、そもそもゴミを出さない、リサイクルする精神を大切にしていきたいですね。

澤崎 萌

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