Vo. 9: 女性の社会進出 (2021年6月9日)

こんにちは、ひびきの清水です。 シンガポール通信も2回り目となりました。時間が過ぎるのは早いものです。 この回では、シンガポールで私が以前から感心してきた一つの社会的なコンセンサスについて書きたいと思います。それは、女性の社会進出についてです。

(出典: 独立行政法人 労働政策研究・研修機構データより弊社作成)

就業者の中での女性比率は日本とほぼ変わらないのですが、管理職レベルになると36.4%と非常に高く、英国、ドイツ、フランスより高いのです。 実際に、シンガポールで調査や様々な目的で会社を訪問すると、部長や役員レベルでも当たり前のように女性が出てきて、私の質問に対しても、数倍の切れ味で「倍返し」の答えを返してくる強者も沢山います。キャリアアップ志向も強く、政府も海外から招へいする住み込みのメイドを推奨し、そのような女性の社会進出とステップアップを助けています。

この背景って何でしょうか? それは、実は、天然資源もなく小国のシンガポールにとって独立当初からの課題は国家の競争力を強化する手段が150万人の「人材」にしかなかったという紛れもない事実です。実際、日本でも戦後から高度成長に至るまで、人材は貴重な資源であり、企業としてはいかに会社の価値を長期で拡大するような雇用関係が築けるか、という問題意識で、日本独特の終身雇用と年功序列的な給与、昇進慣行が定着しました。

シンガポールは同じ問題を、日本と全く正反対のアプローチで対処しました。それは、社会的上昇の機会を全ての人に、年齢、性別、人種関わらず平等に与え、個人はその能力に応じてチャンスを掴む、という徹底した能力主義・実力主義でした。半面、終身雇用(そしてその後の定年)という概念は存在しません 。 このように女性の件一つとってもそうですが、労働市場(特に高度な知的労働分野)で、民族・宗教・年齢・性別の属性に関わらず、同じ仕事には同じ報酬(付加価値の高い仕事には高い報酬)、という原則が徹底されたのです。人種も多様で、宗教も多様なシンガポールでは、おそらくこれをしないと大変な差別が生まれる可能性があり、当然な道筋なのかもしれませんが、これは私が見ても日本に比べてシンガポールの素晴らしいところであり、結果として一人当たり国民所得は順調に上昇しました。 ただ、その弊害として、超学歴競争社会になり、学歴も高く出世意欲の高い女性が仕事を辞めたがらないため、出生率は日本より低い状況に陥っていることも紛れもない事実なのです。それぞれの国にそれぞれの対処法があり、問題がありますね。シンガポールとて完璧とは程遠く、日々悩みつつ前進している場所なのです。

清水雄也

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