主要投資先のIGポート(3791)が昨日2022年5月期通期の決算及び中期経営計画を発表しました。
当社は、『進撃の巨人』『攻殻機動隊』そして最近では『SPY x FAMILY』といった有力IPの映像作品制作を手掛けるProduction I.GやWIT STUDIOを傘下に抱えるコンテンツプロバイダーで、美麗なCGや繊細な作画技術については国内随一の能力と実績を有しています。
2022-5期に関しては、映像制作で4Qに一括計上作品が多く、財務会計と税務会計の費用計上の方法の違いで税金負担が大きく増えて、当期利益が昨年比大幅減の5百万円とありますが、こちらは実は2023-3期の税務負担が相殺されるため、本質的な問題ではなく、逆に映像作品の引き合いが「依然好調」であることの証明と私どもは見ています。尚、映像制作セグメントは業務繁忙による外注費の増加で足元収益性が悪化していますが、出版セグメントや版権セグメントは好調な売上と利益水準を維持しています。映像制作では構造改革が継続中であり、WIT STUDIOでは目に見える変化が起きている模様です。
今期(2023-5期)は将来の利益成長のための土台作りと位置付けられており、減益予想となっておりますが、同時に発表された中期経営計画では下記の通り、来期及び再来期の計画で現状の利益水準から「倍増」以上となる計画となっております。
(出所:IGポート7月14日プレスリリース)
同時に発表された決算説明資料にその中計の詳細が説明されていますが、p.27には版権セグメントの営業利益が2023/3の2億円から2024/3に8億円、2025/3には6.5億円と飛躍的に増加することが既に計画されています。特に版権収入という予見性があまり高くない事業で根拠のない計画は立てないでしょうから、ある程度見込みが固い部分を織り込んでいると推察され、IG Portグループの本質的なIPの力が開花しつつあることが表現されています。
さらに、私どもが大変心強く感じる部分は、長年経営陣と意見交換を重ね、継続的にお願いしてきました、主要なIPシリーズへの積極集中投資の方向性に関して、資料の中で「中長期的なキャッシュフローの獲得を目指し、シリーズ作品を事業の中核とする」とはっきりと表現されている点です。強いIPにさらに資本投下し、中長期的なキャッシュフローの拡大を目指すことが正式に表明されたことは、IG ポートがグループとして大きく脱皮したことを意味していると感じます。株主でもあり作品のファンでもある私どもとしては大変楽しみにしていきたい部分です。
尚、中期経営計画では、今までほとんど議論がなかった、財務施策についてもROE 8%以上を目指す(計画では11%を視野)こと、及び、配当性向25%を打ち出し、計画通りに進捗した場合には現状の一株5円から30円台へと大幅増配をすることを明示的に表明しています。これに関しても、私どもや他の株主の想いに応えていただくような形で、経営姿勢が、株主と視線を共有して企業価値最大化を図る姿勢に大きく転換したことを物語っていると私どもは考えております。
昨日の終値(1,536円)でPBRは1.35倍、また、時価総額の77億円に対して、バランスシートにある現金預金は借入金及び前受金などを差し引いても35億円あります。差し引き企業価値の42憶円に対して、2025/5期の当期利益予想は7.6億円、投資余力が潤沢にあり、経営姿勢が成長への戦闘態勢に入ったIGポートを私どもは引き続き叱咤激励していきたいと思います(清水)。
尚、本投稿は、特定の有価証券の取得の申込みの勧誘若しくは売買の推奨又は投資、法務、税務、会計その他いかなる事項に関する助言を行うものではありません。